一口に焼酎といっても、いろんな製品が出回っています。
焼酎にはどんな種類のものがあるか、どのように分類されているのかを見てみます。
蒸留酒と醸造酒
お酒を大きく分類すると蒸留酒と醸造酒に分けられます。
蒸留酒
蒸留酒というのは原料を蒸留してアルコールを取り出すお酒です。
焼酎のほか、ウイスキー、テキーラ、ウオッカ、ジンなどアルコール度数の高いお酒が多くなっています。
醸造酒
醸造酒というのは原料をそのまま発酵させて造るお酒です。
日本酒のほか、ビールやワインがこの醸造酒にあたります。
アルコール度数は16度から20度が限界で、それ以上高くすることができないといわれています。
連続蒸留式焼酎と単式蒸留焼酎
連続蒸留式焼酎
いわゆる一昔前まで甲類と呼ばれていた焼酎です。
廃糖蜜や酒粕などを原料とし、何度も蒸留して造るタイプの焼酎です。
アルコールの純度は高くなりますが、酒税法でアルコール度数36度未満と決められているため、水で薄めて製品にします。
何度も蒸留を繰り返すことで、原材料の風味は失われてしまい、味覚の個性はなくなります。
低コストで大量生産されます。
酎ハイやカクテルなど、自分の好みの味わいにして飲むのに向いています。
リキュールや果実酒の原酒としても使われます。
スーパーなどで見ると、連続蒸留式の焼酎には原材料が書いてないものが多いようです。
ホワイトリカーと表記して売られているものもあります。
単式蒸留焼酎
伝統的な焼酎の製法です。1回の蒸留で造られる焼酎を単式蒸留焼酎といいます。
1回しか蒸留をしないので、原料の旨味が焼酎に残り閉じ込められます。
原料の特性を活かした個性のある焼酎が生まれます。
本格焼酎と表記されるものはこの単式蒸留焼酎です。
球磨焼酎も単式蒸留焼酎のカテゴリーに含まれます。
原料による分類
単式蒸留焼酎は、その原料により分類されます。
米焼酎
芳醇でまろやかな味わいが特徴です。
米が原料だけに日本酒に近い風味や味わいにとなります。
「球磨焼酎」が米焼酎の発祥とされています。
熊本県南部で製造されるほか、日本酒の名産地である秋田県や新潟県が主な生産地です。
麦焼酎
甘みを感じる軽やかな味わいが特徴です。
ビールと同じ大麦が原料となります。
長崎県の壱岐が発祥とされます。
「壱岐焼酎」は「球磨焼酎」と同じく、世界貿易機関の産地表示保護指定を受けています。
1960年代以降は、大分県でも麦焼酎の製造が盛んになり、現在では一大産地となっています。
芋焼酎
高い香りと強い甘みが特徴です。
一昔前の芋焼酎は独特の臭みがあり、好き嫌いが分かれていました。
現在は製法の改良で、従来の臭みがない焼酎が開発されています。
芋焼酎はサツマイモの産地であった宮崎県や鹿児島県で、江戸時代から飲まれており、現在でも宮崎県と鹿児島県が一大産地となっています。
そば焼酎
麦焼酎よりもさらに軽く、くせも少ないのが特徴です。香りや風味は独特のものがあります。
そばが特産品である宮崎県北部が産地です。
黒糖焼酎
黒糖ならではの甘い香り、口当たり柔らかでくせが少ないのが特徴です。
鹿児島県の奄美群島が発祥です。
現在は国税庁の通達により、同じ原料、同じ製法で造っても、他地域で造られたものはスピリッツ扱いになります。
「奄美黒糖焼酎」は奄美群島でしか生産できない特産品となっています。
泡盛
独特の香りとキレのある味わいが特徴です。
沖縄特産の泡盛ですが、単式蒸留焼酎に分類されます。
タイ米を原料に黒麹で仕込みます。
3年以上熟成させたものを古酒(クースー)と呼びます。
単式蒸留焼酎の製法による分類
単式蒸留焼酎はその蒸留方式により、常圧蒸留式焼酎と減圧蒸留式焼酎に分類されます。
常圧蒸留の焼酎
大気圧下でもろみを蒸留する方式で造ります。
焼酎は旧来この常圧蒸留方式で造られていました。
原料由来の成分も抽出されるため、原料の味わいや旨みがしっかり残った、骨太な味わいとなるのが特徴です。
原料の雑味も一緒に抽出してしまうのですが、これが複雑な味わいを生み焼酎の個性となります。
焼酎ブーム以降、飲みやすい減圧蒸留の焼酎が主流となりましたが、今常圧蒸留の焼酎が見直されています。
減圧蒸留の焼酎
気圧を下げ、水やアルコールの沸点が下がった状態で蒸留する方式です。
クリアでスッキリした味わいになり、くせや雑味が少なく、いわゆる飲みやすい焼酎となるのが特徴です。
沸点の高い雑味成分を抽出しないため、雑味を抑えて淡麗でソフトに仕上げた焼酎が造れます。
焼酎の臭みが苦手という方にもおススメの焼酎です。
球磨焼酎は常圧蒸留、減圧蒸留、両方の焼酎が造られています。
現在はどちらかといえば減圧蒸留で造られる銘柄が多くなっています。
まとめ
焼酎はその製法や原料によって、風味や味わいに特徴が生まれます。
同じ本格焼酎でも個性があるのはそのためです。
同じ米を原料とする球磨焼酎も、銘柄によって個性があります。
いろんな銘柄を飲み比べて、好みの焼酎をみつけるのは楽しいものです。
球磨焼酎はこちらでご覧いただけます。
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